『太陽がいっぱい』『キャロル』『アメリカの友人』を生んだ人気作家、パトリシア・ハイスミスの謎に包まれた作家人生と素顔に迫るドキュメンタリー
欧米ではアガサ・クリスティーと並ぶ人気を誇る、サスペンス、ミステリー作家、パトリシア・ハイスミス。トルーマン・カポーティに才能を認められ、『太陽がいっぱい』『キャロル』『見知らぬ乗客』『アメリカの友人』などの映画史に残る名作の原作の数々を生みだした。中でも偽名で発表した『キャロル』は自伝的小説であり、1950年代のアメリカでハッピーエンドを迎えた初のレズビアン小説だった。しかしそんな栄光を手にしながらも、ハイスミス自身は、女性達との旺盛な恋愛活動を家族や世間に隠す二重生活を余儀なくされていた。
本作ではハイスミスの生涯を、生誕100周年を経て発表された秘密の日記やノート、貴重な本人映像やインタビュー音声、タベア・ブルーメンシャインをはじめとする元恋人達や家族によるインタビュー、そしてヒッチコックやトッド・ヘインズ、ヴィム・ヴェンダースらによる映画化作品の抜粋映像を織り交ぜながら、彼女の謎に包まれた人生と著作に新たな光を当てるドキュメンタリーである。『ゲーム・オブ・スローンズ』シリーズで知られるグウェンドリン・クリスティーのナレーション、そしてフランスのギタリスト、ノエル・アクショテが書き下ろし、ビル・フリゼールとメアリー・ハルヴォーソンが演奏に参加した楽曲に導かれ、現代ますます再評価の高まる女性作家の、クールな仮面の下に隠された、惚れっぽく、傷つきやすく、愛を渇望し続けた、知られざる素顔が明かされる。